みなさんこんにちは。
獣医師の茂住です。
先日アメリカのボストンに、TPLO (Tibial Plateau Leveling Osteotomy: 脛骨高平部水平化骨切り術) という膝関節の前十字靭帯が断裂した際に行う手術の実習に行ってきたので紹介させていただきます。
ボストンには手術で使われるインプラントの会社(KYON (Movora))のラーニングセンターがあり、献体を用いての実習も行うことができるため参加してきました。
ワンちゃんの前十字靭帯断裂に対して、現在様々な治療法が確立されています。
今回習いに行ったTPLOというのは、脛骨の上部を円形に骨切りし、回転させて固定することにより、膝関節の安定化を図りまた歩けるようにさせるという手術です。
他の手術に比べ成績も良い、とても有効的な治療法になります。
またTPLOだけでなく、一緒によく発生する半月板損傷に対する対処法も学んできました。
スケジュールは以下のとおりでした。
1日目
前半
- 座学(前十字靭帯断裂の病態、手術のプランニングと準備、手術のテクニックについて)
- 骨モデルによるステップバイステップのデモン
- ストレーション
- 骨モデルで実技
後半
2日目
前半
- 前日の実技のレントゲン評価
- 献体での実技
後半
- 午前の実技のレントゲン評価
- 手術の合併症とその対応について
- 献体での実技
というみっちりなスケジュールで実習してきました。
実習の一番良かったところは、模型だけではなく実際の遺体で実習させてもらったこと (日本では出来ないので)。
また参加者が行った手術をレントゲン撮影していただき、どこがうまくいっててどこが悪いか、全員でディスカッションが行われたところです。
そのダメだった点を踏まえて次の実習で実践。
さらにそれをレントゲンで評価し合い、次の実習へ。
講師は年間に400件はTPLOを行ってるというアメリカの認定外科医のお二人で、最新の情報を含んだ講義も、手取り足取り細かい手技を教えてくれました。
実習生は自分を含めて6人という少人数制でした。
そのため多くの時間を実技に割くことができ、細かい質問もその都度でき、とても有意義な時間でした。
実習に来ていた人はアメリカ2人、ドイツ1人、メキシコ1人、カナダ1人。
みんな同じホテルに泊まってて、実習後は一緒に飲んで海外の獣医療事情や最先端の獣医療の話などして夜を過ごしました。
実習を終えて、予想を大きく上回る知識と技術を会得できたかと思います。
今回培ったことをぜひ臨床の現場に活かせられたらいいなと思います。
海外では様々な実習セミナーが同様に開催されてるので、ぜひ他の手術内容で再度実習に行きたいなと心から思いました。
最後になりますが、やっぱりアメリカだな。。と思った写真を2つ。
- 投げ捨てられるように届けられ、雨に濡れた郵便物。
- 頼んだアイスコーヒーにドップリ使ったスプーン。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではでは。