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ふなばし動物医療センター かつまペットクリニックのスタッフブログ

がんになった子の食事ってどうしたらいいの?      〜1章がんって何?〜

皆様こんにちは、獣医師の緒方です🐕

皆さんは、「がん」を持っているワンちゃん・ネコちゃんの体の中ではどの様なことが起きているかご存知でしょうか??

「がん」に対して悪いイメージは持っていても、具体的にどの様に悪い影響を及ぼしているのかわからない点が多いと思います。。。

そこで、今回は「がん」によって起こってしまうワンちゃん・ネコちゃんの体内の変化を栄養の目線で3回に分けて紹介していきたいと思います👏

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「がん」を持っているワンちゃん・ネコちゃんの体内では、「がん」によって様々な栄養状態の変化が起きています。この栄養状態の変化によって、ご飯をしっかり食べているはずなのにどんどん痩せてしまうことがあります💦この状態のことを「がん性悪液質」と言います。

 

🍀悪液質とは🍀

悪液質とは、がん、慢性心不全、慢性腎不全などの慢性疾患に伴う栄養失調で全身的な衰弱状態のことを指します。これにより、体内の脂肪だけでなく筋肉も消耗してしまうので骨が浮き出てしまう程痩せてしまったり、普段の散歩や運動を行えなくなってしまう場合もあります。

「がん性悪液質」がある動物は炭水化物・タンパク質・脂質代謝が正常動物と異なるため、

十分に栄養を摂取しているのにも関わらず、食欲不振、体重減少、   疲労、免疫異常など様々な症状を引き起こしてしまいます。。。

空腹な犬のイラスト

 

人の場合、「がん」で死亡する症例の50%以上が悪液質に陥り、がん患者が死亡する直接の原因が悪液質であることが30%にも達すると報告されています。

悪液質にならなければ、がんを患った人の30%は延命が望める可能性があります。

これらのことは犬・猫においても同じことがいえます。

がんを患っている動物の死因の多くはこの「悪液質」とも言われています。

さらに、「悪液質」は抗がん剤の効果にも影響してしまいます。

→・抗がん剤の効果の減少

 ・抗がん剤の副作用の増加

 ・予後不良や生存率の低下

などなど。。。

この様に「悪液質」はワンちゃん・ネコちゃんにとって悪い方向にしか働きません。なので、「悪液質」に対してしっかりとした栄養管理を行なってあげることは、治療の成功や生存率の上昇などに繋がるので、とても大事なことなのです👍

従って、「がん」を患った犬や猫のために、飼い主・獣医師ともに悪液質に陥らないように協力していかなければなりません🤝

 

「がん性悪液質」は以下のように進行していきます。

がん性悪液質の3つのステージ

1、前悪液質:患者には何も症状は出ないが、体内では様々な代謝異常が生じてしまっている(高インスリン血症・高乳酸血症・及びアミノ酸や脂質の代謝異常などなど…)

 

2、悪液質:食欲不振・体重減少・活動性の低下などの症状が発現し、抗がん剤放射線治療に対する副作用の発現率が高まる。

 

3、不可逆的悪液質:著しい虚弱や衰弱及び低アルブミン血症

人では不可逆的悪液質に陥ると生命予後が3カ月以内となります。

もちろん、動物においても同様なことが言えると思います。

「悪液質」が進行しない様に、可能であれば前悪液質の段階から、悪液質に対しての対処を行うことが理想です✊

 

今回は「悪液質」について紹介しました。少し難しい内容だったかもしれないですが、「悪液質」は「がん」を理解する上で重要になってきます😀

次回は、「悪液質」に陥らない為に必要な、具体的な栄養管理について紹介したいと思います🙋

ちなみに、「がん」は炭水化物が大好物でタンパク質はまぁまぁ好物で脂肪がとても苦手です。。😄    

お茶碗に入ったご飯のイラスト   細菌・ばい菌のイラスト「悪い顔のキャラクター」