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ふなばし動物医療センター かつまペットクリニックのスタッフブログ

がんになった子の食事ってどうしたらいいの?       〜3章 食事の与え方について 〜

皆さんこんにちは獣医師の緒方です🙎前回は、「がん」を持つ子に対しての具体的な栄養管理について紹介させて頂きました。

しかし、栄養に気をつけたくてもなかなか食べてくれない、状態が悪く食欲が無い、、、など悩まれる方が多いと思います。

そこで今回は、動物に栄養を摂ってもらう為の工夫について紹介させて頂きたいと思います👏

 

 

🍀食事療法〜食欲のない子に食べてもらうには〜🍀

「がん」を持つ動物は悪液質の状態になってしまいます。なので、適切な栄養補給ができていないことで、どんどん衰弱していき、治療への反応も悪くなってしまいます。

「がん」と戦っていくためには、食べる必要があるのです!

しかし、「がん」を持つ子は食欲がない子が多く、美味しそうな食事を用意しても食べてくれない子も多いと思います。

空腹な犬のイラスト

そこで、「がん」を持つ子に対して食事を食べてもらうための以下の3つのステップを紹介します🙆

 

ステップ1:食べさせる工夫

ステップ2:食欲増進剤の使用

ステップ3:栄養チューブを用いた積極的な栄養補給

 

 

ステップ1:食べさせる工夫🍴

まずは動物に食事を食べてもらうための工夫について以下の方法を紹介します。

1.食事を体温よりやや低めになるように温める。

2.美味しく、香りの良い食事を選ぶ

3.食器を工夫する

・陶器の器が好ましい

ハッピーダイニング 脚付フードボウル 猫柄 シリコン付き [猫用餌やり・水やり用品]

・ネコちゃんは平皿を好む

・ヒゲが食器のふちに当たらない様な食器を使用

・関節痛がある子は器の位置を高くしてあげる

  

 

・歯の悪いネコちゃんはフードを潰して与えてあげる

4.動物にストレスの無い環境にする

 

 

ステップ2:食欲増進剤の使用🏥

ステップ1のように様々な食事の方法を行っても、犬・猫が食事を摂らない時はお薬の助けも必要になってきます。食欲増進剤にも様々なものがあるので、動物に合ったお薬の内服が必要になります。薬のイラスト「カプセル」

 

ステップ3:栄養チューブを用いた積極的な栄養補給🍼

もし、食事の工夫や食欲増進剤でも効果が見られなかったら、栄養チューブを用いた給仕が必要となる場合があります。栄養チューブとは、ワンちゃん・ネコちゃんの鼻や首、お腹の部分で外から消化管(食道や胃あるいは小腸)までチューブを通し、チューブを通して直接食べ物を給与する方法ですワンちゃん・ネコちゃんは、強制的に食事を食べさせる行為(強制給仕)を好みません💦特にネコちゃんでは強制給仕を行うことでご飯を余計に食べなくなってしまう可能性があります。また、強制給仕を行うことはワンちゃん・ネコちゃんだけではなくご家族にも大きなストレスとなっていきます。

そこで、栄養チューブを用いることで、動物やご家族にストレスなく動物たちへご飯やお薬を給与する手助けとなる可能性があります👌

 

 

 

 

以上、食欲のない動物に対しての食事を与える工夫について紹介させて頂きました🙆

「がん」を持つ動物の体内では、様々な栄養状態の異常が生じてしまいます。この「がん」により引き起こされる栄養異常を「がん性悪液質」といい、これを放置してしまうと全身状態の悪化を招いてしまいます😓

さらに「がん性悪液質」は死亡率の上昇や、治療反応性の低下につながります。この「がん性悪液質」を少しでも改善するためには、しっかり食べさせることと栄養への配慮が重要です👍

「がん」を持つワンちゃん・ネコちゃんにも、少しでも元気で過ごしてもらえる様、これらの情報が参考になれば幸いです✨

 細菌・ばい菌のイラスト「困った顔のキャラクター」  おもちゃで遊ぶ犬のイラスト