スタッフブログ

ふなばし動物医療センター かつまペットクリニックのスタッフブログ

2月の手術〜膝蓋骨脱臼〜

こんにちは

獣医師の大塚です。

 

狂犬病の2018年度の登録が3月2日から始まりました。

毎年この時期に接種しているという方も多いと思いますので、忘れずに接種しましょう。

4月のご予約も承っておりますので是非ご予約のうえご来院ください。

フィラリアやノミ・ダニの予防のシーズンでもありますのでお気軽にご相談ください。

 

 

このブログにも度々登場している我が家の愛犬ファビアンくんもそろそろフィラリア検査と一緒に健康診断をしようかと思っています。

 

f:id:katsuma-pc:20191210172123j:plain

 

こんな寝方をしているうちはいいですが、、、

 

f:id:katsuma-pc:20191210172119j:plain

 

こんな顔をして寝ていると、少し心配になります。

 

 

それでは、先月の手術です。

 

~2月の手術~

白内障手術  4件(4眼)

眼科外科手術  6件

前十字靭帯断裂 1件

膝蓋骨脱臼 5件

股関節脱臼麻酔下整復 2件

股関節全置換 1件

骨折 1件

尿道・膀胱結石 4件

その他軟部外科 10件

歯科処置 4件

帝王切開 1件

食道内異物 1件

不妊手術 犬 3件 猫 8件  11件(うち1件は内視鏡不妊手術)

去勢手術 犬 2件 猫 10件  12件

 

以上62件でした。

 

 

2月は寒くなり飲水量が少なくなったせいか、尿道や膀胱に結石が出来てしまい、手術せざるを得なくなってしまった症例が続きました。

 

また不幸中の幸いで手術にはならなかったけれど尿路結石によって3~4日以上の長期の入院が必要になってしまった症例も合わせると毎週のように尿路結石の症例が入院していました。

 

特に猫ちゃんの男の子は、尿道に結石が詰まりやすく、おしっこが出なくなってしまい命が危なくなることもありますので注意しましょう。

 

おしっこが出ているかどうかわからなくても、何回もトイレに入っていたり、普段と様子が違う場合は病院にご相談ください。

 

 

 

先月は膝蓋骨脱臼の手術が5件ありました。整形外科の手術が多い当動物病院の手術の中でも比較的多い手術のひとつです。

 

膝蓋骨脱臼は小型犬に非常に多い病気で、「膝のお皿」が内側や外側に外れてしまう状態です。

f:id:katsuma-pc:20191210171917p:plain

 

状態により4つのグレードにわけられます。

 

グレード1:膝蓋骨は正常な位置にあり、肢を伸展させて膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、放すと自然に整復される。

 

グレード2:膝関節は不安定で膝蓋骨は脱臼したり元に戻ったりしている。指で膝蓋骨を押すと整復できる。日常生活に支障はないが、この状態で年数を重ねていくと骨の変形が進み膝蓋骨を支える靱帯が伸びてグレード3に移行することが多い。

 

グレード3:膝蓋骨は常に脱臼状態にあり、指で押せば整復できるが放すとすぐに脱臼してしまう。多くは膝関節を屈曲させたまま歩行するので跛行がみられる。大腿骨や脛骨の変形も明らかになってくる。

 

グレード4:膝蓋骨は常に脱臼し、指で整復できない。大腿骨や脛骨の変形もさらに重度になり患肢が伸展できない。

 

基本的に当院ではグレード3以上であれば手術をお勧めしますが、症状が繰り返し出るのであればグレード1やグレード2でも手術をお勧めする場合があります。

また、膝蓋骨脱臼によって膝の関節に負荷がかかり、膝関節内の前十字靭帯を痛めてしまうこともありますので、そのリスクを軽減するために手術を検討する場合もあります。

 

手術の方法は、グレードや状態によって様々な手法を組み合わせて行いますが、代表的な手法として「滑車溝形成術」があります。

f:id:katsuma-pc:20191210171909p:plain

この手術は膝蓋骨が収まる溝が浅い状態に対して、浅い溝を深くする手術です。

 

殆どの場合がこれだけではまたすぐに脱臼してしまうため、状況に合わせて他の様々な手法を適切に組み合わせて行うことが大切です。

以前に膝蓋骨脱臼を指摘されたことのある方や、後ろ足の歩き方などに違和感を感じる場合には是非当動物病院にご相談ください。